平成26年7月発行の翠嵐会報 第28号は翠嵐高校の渡辺英司校長に巻頭言をご寄稿頂きました。ご紹介いたします。
私は、平成23年に赴任し、今年で3年目となります。伝統ある横浜翠嵐高等学校の100周年目の校長として、OBである翠嵐会の皆様をはじめ、保護者の方、地域の方々に誇れる学校となるよう100周年目にあたる平成26年度を新たなスタートとなる年としていく所存です。
横浜翠嵐高校は、ここ10年で大きく変わったといわれています。全日制では学力向上進学重点校として、大学進学に重点をおいた指導を行っていますが、特別活動、伝統ある行事や部活動などにも一生懸命取り組んでいます。けじめある生活習慣の取り組みにより部員数が増加した部活動もあります。
また、ここ数年の進学実績の伸びは、神奈川県だけでなく全国からも注目を浴びています。学校が変わっていくことはなかなか難しいことであり、学校を良い方向に変えようとした校長や職員の努力は大変なものだったと思います。基礎を作った先生方をはじめ、ご理解いただいたOBの皆様にも改めて御礼申し上げます。
しかし、本校が目指しているのは進学実績だけではありません。もちろん、進学実績を上げることは本校を目指す中学生や将来本校を創る子ども達にとって大切なことですが、それ以上に重要なのは、豊かな教養と品格を備えた人材育成を目指す人間教育、そして国際社会で活躍しリーダーシップの取れる人材の育成と考えます。
横浜翠嵐の思いは、日本、いや世界を良くする人材の育成であります。この思いは、初代校長瀧澤又市先生が唱えた「平凡主義(のちの大平凡主義)」として、百年もの長い間、伝えられています。その伝統こそがさらなる発展へとつながる礎であることは言うまでもありません。
今の世の中は、今をどうよくするかという思いが強いのではないかと感じられます。今だけでなく継続的に将来を良くするためには、よき伝統は継続し、改革すべきところは改革する、その歩みはたとえ遅くても、じっくりと構えることも必要となるのではないでしょうか。どんなに素晴らしい取り組みであっても、そのときだけで終わってしまう単発的な取り組みでは、良い取り組みとはいえないでしょう。
私は、横浜翠嵐を卒業する子供たちが、将来を支える基礎を本校で学び得たことで、本校に在学していたことを良かったと思い、将来社会に出て、社会を担う一員たり得たときに、母校を素晴らしい学校と誇れる取り組みを行っていきたいと思います。在校する期間は全日制で3年間、定時制で4年間と短いですが、それが将来に続くよう指導してまいります。
今後、世界はどのように変化するか、今の我々の想像を遥かに超えた将来が訪れるかもしれません。しかし、この100周年を一つの契機として、なにごとに対しても果敢に挑戦し、決してあきらめない精神をもち、グローバル社会を牽引し、豊かな教養と品格を備え、他人の痛みがわかる感性をもつ人材の育成、いわば本校の原点を見据えながら、また時代に即応する教育を行ってまいる所存です。
横浜翠嵐のさらなる発展を祈念して擱筆といたします。
翠嵐会報 第28号は特別体制として創立100周年に関する記事を抜粋してpdfファイルにてご提供しています。
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